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「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」は、2011年3月の福島第一原発事故を受けて、DEARで作成された教材です。この教材の目的は、エネルギー政策や原発の賛否を問うのではなく、一人ひとりが当事者として、まずは知ること、そして安全に話し合う場をつくること。

 

Social School Vol.2 では、DEARの八木亜紀子さんを講師に、この教材を使ったワークショップを開催。

イベント後、教材作りに携わった八木さんに、これが作られた経緯や込められた思いなどについて、お話を聞きました。

 

 聞き手:IVY堀野 

(2013年2月16日のワークショップ後にインタビュー)

(>> イベントレポートはこちら

 

八木 亜紀子さん

特定非営利活動法人 開発教育協会(DEAR)

 

大学時代に国際ワークキャンプに参加したことをきっかけに、ボランティアや市民活動の世界へ。

2007年よりDEARの職員となり、広報や教材作成、ワークショップのファシリテーターなどを務めている。ワークショップ「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」の制作者のひとり。  

原発問題は、話すこと自体がこわい

堀野:IVYみやぎでは、一般の人の巻き込みを重視しています。

こういった社会問題には関心が薄い人、NGOやNPOなんてよく知らない人なんかにもっと来てもらいたい。今回の講座も広報を頑張ったのですが、正直、参加者集めに苦労しました。

 

八木:うん、わかります。

『もっと話そう!エネルギーと原発のこと』は、教材自体は売れているのですが、講座をやると参加者はなかなか集まらない。

理由は「不安」が大きいんだと思います。講座に参加して、「賛成派とか反対派とかの話になったらどうしよう」とか「自分はこの問題について詳しくはないし、主催者に説得されちゃったらどうしよう」とか。

だから、だいたい行くこと自体が怖い。話し合うなんて、もっと怖い。そんな風に思うんじゃないでしょうか。

 

堀野:DEARはこれまでも、教材のテーマとして様々な時事問題を取り上げてきましたよね。割とセンシティブな事件についても。それらと比べると、今回の反応はどうですか?

 

八木:時事問題の教材というのは「Global Express(グローバル・エクスプレス)」※※のことですよね。私たち自身はあれを使った講座はあまりやってないんです。

 

ただ、他のプログラムと比べても、「もっと話そう!~」は、参加者があまり集まらないです。例えば、DEARでは毎月1回、入門講座というのをやっています。定員は20名。基本、『パーム油のはなし』という教材を使って、いつも20名以上は申し込んでくる。

1月の入門講座では、この「もっと話そう!~」を使ったんですね。そうしたら、参加者は12名ぐらい。この月だけ、がくんと減った。やっぱり、テーマがテーマだからだなと思いました。

 

2011年は、東日本大震災をテーマにワークショップをやって、それにはものすごい参加者が来たんですよ。1回目を4月にやった時は4日間で80名もの申込みがありましたが・・・

 

堀野:やっぱり、このテーマは避けたい、という心理があるんですかね。

 

八木:例えば、原発「反対」という集会には、原発反対派の人や、原発は無くした方がいいと思っている人がたくさん集まる。「原発反対派の論客の話を聞いて、納得して落ち着きたい」と言う人とかがね。「賛成」「反対」という、色・主張をはっきり出していれば、人は集まってくるんです。このワークショップはそういうものではないから、難しいなと思います。

 

 

 ※『もっと話そう!エネルギーと原発のこと‐参加型で学び合うための16の方法』(2013、DEAR)  

  http://www.dear.or.jp/book/book01_energy16.html

 ※※時事問題を教室で学ぶためのメディア・リテラリー教材。イラク人質事件、秋葉原無差別殺傷事件なども取り上げてきた。

  http://www.dear.or.jp/ge/

 

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