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ワークショップの様子 (2013/2/16 IVY Social School Vol.2)
ワークショップの様子 (2013/2/16 IVY Social School Vol.2)

堀野:本当はこういうテーマこそ、たくさんの人を巻き込んで出来ればいいんですけどね。宮城県の場合、福島は隣だし、県内にも女川原発があるので、誰でも「原発」については心の中でひっかかっているとは思うんですけど。

 

八木:単純に、原発をタイトルの中に入れちゃうと来ないんだな、って気はしますよね。じゃあ、どうしたらいいのとも思いますが。

 

堀野:福島ではやるんですか?

 

八木:福島ではまだやっていません。機会があればやりたいと思っています。

 

でも、あの教材は、福島の人たちにやってもらおうと思って作ってはいないんですね。福島の原発って、「東京」電力の原発です。だからまず東京の人に考えてほしい。原発がある地域の人たちだけが当事者じゃなくて、全員が当事者。それなのに、東京の人たちなんかは、割と忘れちゃっている人が多いし、「なんとかなっているんでしょ」という人たちが多い。「収束宣言出たし」といったような。

 

あの教材は、そういった、忘れてしまった、忘れかけている人にやってほしい。そういうつもりで作ったんですね。だって、意思決定に関わる人たちって、そういう人たちなんですよ。

 

堀野:そうですよね。結局、都市部の方が決めている。

 

八木:福島は東京に比べれば人口も少ないし、国会でロビーイングなんてしょっちゅう出来ないし。物事を決めているのは福島にはいない人たちですよ。

 

堀野:(その場にいた学生たちに対して)みんなは今日、なぜ参加したんですか?

 

:僕は原発の話題を話すこと自体ずっと避けてきたんです。メディアを通して考える機会はあったんですけど、自分の考えを人に話す機会はなくて、今日がほぼ初めてでした。無意識に避けていた部分もあるし、機会もなかった。なので、参加してみようと。

 

八木:まずは考えを話し合うというのが大事ですよね。そういった話し合いの末に「あなたはどう思いますか?」と聞く、というのがよりよいプロセスだと思うし、そういうプロセスがないと、自分の意見も持てないですよね。

 

堀野:他のみんなはどうかな。

 

:私は社会科の先生になりたいんですけど、教育実習で公害のことをやったんですね。その時、子どもたちの話に原発のことが出て来たんです。それで、原発について自分の考えを整理したいなと思っていました。実際に、生徒たちが自分たちの考えをぶつけ合っているのを見て、そういうことをしないと、ちゃんと考えることって出来ないんだなとも思ったので。

 

八木:そうなんだよね。人の意見を聞くって面白いとか大事だっていう体験を自分自身がしないと、それをやることの意味とかわからないしね。

 

:私は、今まで原発のことって、賛成か反対か、どっちかに偏るのが怖くて、出来るだけ中立な立場で意見を聞こうとおもっていたんですけど、それってどこか他人ごとだったので、こういうワークショップに飛び込んでみようと思いました。

 

堀野:やっぱり怖いっていう思いがあるんですね。本当は原発に限らず、社会問題をもっと気軽に話題に出来ればいいけど、難しいね。

 

日本の社会って、みんな自分の「立場」を気にして会話しますよね。職業や所属、序列やポジション、地域の人間関係などの「立場」でものをいう人が多いし、その雰囲気の中で本当の考えを口に出来ない。

 

:ワークショップって、疑似的な空間が出来るじゃないですか。そういう立場を抜きにした、そこに魅力を感じます。相手がどういう人かとか自分のことをどう考えているかを心配せずに意見を言っていい雰囲気が。

 

八木:そうですね。でも、疑似空間であっても練習しないと、自分の考えって話せないんだよね。なので、こういう場でまず練習して、現実の場で、意見の異なる人と話してみようとか、違う考えの人と話すのが怖くなくなるとか。それも大事。

 

堀野:IVYの理事会って、みんなズバズバ考えを言い合うんですよ。カンボジア、外国人支援、国際理解教育、それぞれの担当理事が集まって、各事業について話し合う。お互いにお互いの事業については、そこまで詳しくない。詳しくないけど、だからこそ生まれる疑問や視点、批判があって、それを担当者にぶつける。担当者もそれを受けとめる。「知らないことに口を挟むな」という雰囲気にはならない。そうすることによって、事業がちゃんとチェックされる。そういうことがあります。

 

NGOの人たちは、会議もワークショップと同じような意識でするから、立場をフラットにして議論できるところがありますよね。

 

八木:立場が違う人がいても、フラットな気持ちで「なぜ、そう考えるの?」って聞いたりね。